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全国どこでも、好きなところで勤務OK。フルリモートで「働く」と「生きる」の選択肢を増やす、ヌーラボのワークプレイスとは

コロナの流行を受け、あらゆる企業が働き方の見直しを迫られている昨今。各社が試行錯誤を続ける中で、思い切った方針を打ち出す企業がありました。

福岡に本社を置き、チームの可能性を広げるコラボレーションツールの開発・運営を手掛けている、株式会社ヌーラボです。

同社では現在、新型コロナウイルス対策のため、すべての従業員がフルリモート勤務を前提としたスタイルで働いています。さらに、コロナ後も出社を前提としないワークスタイルを採用すると発表。国内外にある6拠点のうち、2020年内には東京オフィスを縮小移転することも決めています。

また、すべての従業員、および今後新たに入社する方の勤務地条件も廃止。拠点の所在地を問わず、全国どこでも好きなところで働けるようにしました。

いずれも革新的な取り組みに思えますが、代表取締役の橋本 正徳(はしもと まさのり)さんと管理部の安立 沙耶佳(あだち さやか)さんは「判断に迷いはなかった」といいます。

今回はそんな2人に、同社が考えるこれからのワークプレイスや、働き方について聞きました。

オフィスの縮小移転は、満場一致で即決。コロナ前から想定していた流れだった

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代表取締役 橋本 正徳さん

── ヌーラボ社の働き方は、コロナによってどう変化しましたか?

橋本 コロナ前は、育児や介護などの事情がある場合を除いて、週5日のうち4日はオフィスに出社するよう、テレワーク規程で定めていました。コロナ後は、働き方と働く場所を見直し、すべての従業員をフルリモート前提に変更。個人のスタイルに合わせて、テレワークするか出社するかを選べる形式にしました。この体制を今後も継続していきます。

ヌーラボは国内外に6つの拠点があり、会社の拡大とともに拠点をまたいでチームが構成されるようになってきたので、コロナ前から毎日のようにリモートでやりとりをする習慣があったんです。そのため、メンバーにとっては、仕事をする環境として大きな変化はなかったと思います。

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ヌーラボでは、コロナ前から日常的にリモート会議が行われている

── すでにリモートでのコミュニケーションが根付いていたんですね。東京オフィスの縮小移転という決断も、スムーズだったのでしょうか?

橋本 とても自然な流れでしたね。むしろ、「決断」という言葉を使うのは重すぎるくらい。「この機会にオフィスをサイズダウンすれば、コストを削減できていいな」程度のテンションでした(笑)。

実は、もともとコロナが流行する前から、リモートワークをより浸透させ、オフィスに出社する従業員を半分程度にまで減らしたいと思っていたんですよ。そこにコロナがやってきて、背中を押されたような形です。

安立 東京オフィスの縮小移転については、もちろんメンバーの意見も聞きましたが、満場一致で「そうすべきだよね」という感じでした。さすがに移転先の物件は時間をかけて検討しましたが、移転すること自体はあっという間に決まりましたね。

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移転前の東京オフィス

フルリモートでも業務に支障なし。これからのオフィスは“集会所”になる

── フルリモートになった今、業務上の支障は何か感じていますか?

橋本 「業務上」に限った話で言えば、今のところ、まったくと言っていいほど支障はありません。巷では、「リモートワークだと業務に支障が出る」という声をよく聞きますが、ヌーラボでは決して当てはまらないです。

カルチャーやマインドの醸成という観点でも、特段困ったことはなくて。特にエンジニアは、今までと変わらないというか、あまり迷いがない印象ですね。

エンジニアというのは、会社のカルチャーというよりは世界共通のエンジニアカルチャーで育っているところがあるんです。ヌーラボも、根底にエンジニアカルチャーがあり、その上に会社のカルチャーがあるというピラミッド構造なので、リモートになってもズレが生じにくいのだと思います。

安立 エンジニア以外の職種についても同様に、フルリモートでもうまく機能していますね。今年度に入って7名を中途採用しているのですが、そのうち2名は一度もオフィスに来ていないんですよ。でも、2人とも業務を円滑に進められていて、むしろ非常に活躍してくれています。

── そうなんですか!となると、オフィスを完全撤廃するという選択肢も十分考えられると思うのですが‥‥。そうしない理由があるのでしょうか?

橋本 フルリモートで業務が滞りなく進んだとしても、オフィスが完全に不要だとは思いません。やはり、リアルで顔を合わせる機会はつくるべきです。

それに、感情があふれるような話をするのは、リモートだとなかなか難しい。画面越しのやりとりでは伝えきれない“感情の交換”こそ、みんなで集まることの意味なんじゃないかと思います。

── 感情の交換、と言いますと‥‥?

橋本 ヌーラボが日頃から大切にしているのは、新たなアイデアを生み出すこと。そのためには、アイデアの発散と収束をスピーディーに繰り返すことが必要だと考えています。

トライアンドエラーを重ねるなかで、アイデアが洗練され、やがて形になる。そのアイデアの発散の過程では、人が集まり、互いに感情を表現しながら議論する必要があるんです。そして、発散を経た後の収束というのは、自宅でも十分にできるでしょう。

そう考えると、これからのオフィスは“集会所”になるイメージですね。もしかすると、集まる場所はオフィスに限らないかもしれませんが。例えば、小さなレストランを貸し切るというのも、選択肢の一つになり得ます。

── なるほど。リアルで集まる意味というのが、浮き彫りになったように感じますね。

橋本 もともと世界6拠点に散らばって働いているので、メンバーが定期的に集まれる機会というのは大切にしてきました。コロナ禍ではなかなか難しい部分もありますが、今後もそういう取り組みは継続してきたいですね。

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2019年3月に開催した社員総会イベント「General Meeting」。
世界中のメンバーが福岡本社に集まる機会を毎年作っている。

自宅が“オフィス”として機能するなら、テレワーク補助を出すのは当然のこと

── リモートワークを円滑にできている理由は、制度面にもヒントがありそうですね。

安立 フルリモートに切り替わるにあたって、従業員に「テレワーク補助」を支給することにしました。デスク・チェア・ウェブカメラといった備品費や、光熱費の補助として、毎月1万円、8月からは1.5万円を支給。加えて、4月には臨時賞与として3万円を支給しました。

── その費用は、どうやって捻出されたんですか?

安立 東京オフィスの縮小移転による家賃削減に加えて、交通費・出張費、ウォーターサーバーなどオフィス維持にかかる福利厚生費が圧縮されたので、その一部を従業員に還元した形です。

── なるほど。にしても、毎月1人1.5万円というのは、かなり手厚いなぁ‥‥と驚きました。

橋本 従業員の自宅が“オフィス”として機能しているなら、レントフィーとしてのテレワーク補助を出すのは当然だと考えています。むしろ、今の金額がベストだとは思っていないんですよ。

今回は手始めに、コスト削減のインパクトが最も大きい東京オフィスを縮小移転しましたが、近い将来、福岡の本社や海外拠点も同じようにサイズダウンしたいと考えています。そうすれば、さらにコストを削減できるので、リモートワーク補助も増額していく予定です。

ゆくゆくは、1人あたり月3万円くらい支給できるようにしたいですね。

── 従業員の皆さんを大切にされているのが、ひしひしと伝わってきます。テレワーク補助を出して、社内からの反響はいかがですか?

安立 「エアコン代を気にせずに働けている」とか、「チェアをいいものに新調して快適になった」といった声が届いています。

テレワーク補助を出すことで、従業員にとっての不安材料を減らすだけでなく、より仕事がしやすい環境づくりに繋がっているのは良かったな、と感じています。

橋本 「タブレットを買った」という話は、よく耳にしましたね。特別賞与の3万円を支給したのが、国からの特別定額給付金が支給されるタイミングとほぼ同時期だったんですよ。合計すると結構まとまった金額になるので、この機会にと購入したメンバーが多かったようです。

安立 私もタブレット買いましたよ!ヌーラボでは以前から、従業員が使うPCやスマホなどのガジェット購入費用に対し、研究開発を目的として3割の補助を出しているんです。その制度も併用したので、もはやタダでタブレットをもらったような感覚でした(笑)。

チームを越えた1on1で、フルリモートでもメンバー同士の繋がりを強化

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管理部 安立 沙耶佳さん

── お話を聞いていると、リモートワークに対する不安はほとんどないように思えますが、実際のところいかがですか‥‥?

安立 いえ、フルリモートに切り替えてまだそれほど経っていないので、長期的にどんな影響があるか、注意深く観察しなければ、とは思っていますよ。

例えば、フルリモートになって、業務で関わりがない人との接点がほとんどなくなった点は気になります。業務をする上では支障がなくても、業務以外でのつながりが薄くなってしまう懸念は、どうしてもありますね。

橋本 この課題を解決するために、5月から「スモールトーク」という取り組みをはじめました。チームの垣根を越えて、30分間の1on1をするんです。それが、コミュニケーションの活性化につながれば、と期待しています。

実は、コロナの流行に関係なく、以前から温めてきた取り組みなんですけどね。今回のフルリモート切り替えで、より必要性が高まったと感じてスタートしました。

──「スモールトーク」では、具体的にどんな話をするんですか?

橋本 主に雑談ですね。好きなことを、自由に話してもらっています。目標などは一切設定せず、「30分後に、相手のことを前よりも深く知っているようにしてほしい」とだけお願いして。

「スモールトーク」は、業務上の成果を出したいというよりも、みんなが気持ちよく働けるようになるための取り組み、と捉えています。

勤務地条件を完全廃止。公私を問わず、一人ひとりがより充実した毎日を

── フルリモートになってから、従業員の方々の“暮らし”には、どんな変化がありましたか?

橋本 分かりやすいところで言えば、この機会に転居したメンバーは複数いました。ケースとして一番多いのは、仕事部屋を確保できる物件への引っ越しです。

フルリモートが始まったばかりの頃は、「廊下で仕事をしている」なんて人もいて。でも、これがずっと続くのはさすがに辛いということで、作業環境を整えられる広さの家を探したみたいです。

あとは、趣味に没頭できる環境を求めて、会社から距離がある場所に転居した人も多いですね。

安立 例えば、ソロキャンプが趣味で山奥の一軒家を借りた人とか、実家に帰った人とか。こころなしか、以前よりもイキイキしているメンバーが増えたように感じます。

勤務地条件も廃止したので、極端な話、全国どこにでも住めるようになったのは大きいですね。

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山奥に一軒家を借りたメンバーの、日常の散歩風景。
都心ではなかなか見られない、豊かな自然に囲まれている。

── 制限がぐっと緩和されて、働き方だけでなく、生き方の選択肢も広がったんですね。

安立 そうですね。これをきっかけに、一人ひとりが公私を問わず、より充実した毎日を送れるようになれば、と願っています。

そして、選択肢をたくさん用意することで、これまではご縁がなかった求職者と出会える可能性にも期待しているんです。

── なるほど。人材採用という面でも、プラスに捉えているんですね。

安立 はい、そのとおりです。これは、ヌーラボが普段から大切にしている多様性にも繋がってくると思っています。

例えば、通勤時間のせいで時短勤務を選ばざるを得ないけど、在宅OKならフルタイムで働ける、とか。他にも、色々な“縛り”で働き方を限定されている方が、たくさんいらっしゃると思います。希望の働き方ができずに悩んでいる方には、ぜひヌーラボのことを知ってほしいです。

実際に、当社の拠点から離れたエリアからの応募も、最近は非常に増えてきました。出会いの幅が広がって、いい変化が起こるのを楽しみにしています。

── コロナ禍でもベストな選択を冷静に分析し、会社を着実に次のステージに成長させているんですね。これからの働き方を考える上でも、たくさんのヒントが詰まっていると感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました!


(執筆:中島 香菜/編集:澤木 香織)

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株式会社ヌーラボ
https://nulab.com/
熱い志を持ったプログラマーによって、2004年に設立。「チームで働くすべての人に」をコンセプトに、チームのコラボレーションを促進して、仕事が楽しくなるようなウェブサービスを開発している。

▼提供サービス
プロジェクト管理ツール「Backlog
ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo
ビジネスチャットツール「Typetalk
ヌーラボ製品のセキュリティとガナバンスを強化するツール「Nulab Pass


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